双星の陰陽師 124話 「ボロ雑巾の矜持」感想と考察

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お久しぶりです。前話は時間が取れず記事に出来なくて申し訳ありませんでした。

今話から再び再会したいと思います。

それではどうぞ

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100年に一度の天才

100年に一度の天才と評される英雄陰陽師・天若清弦。

今は12天将を持たない一端の陰陽師ですが、その実力はかなり穢れの王相手に5分の時間稼ぎを試みます。

その右腕には、失ったはずの右腕には、白蓮虎砲と似た呪装が装着されていました。

「金牙蜂塵・救急如律令!!」

清弦は黄金色の蜂を生み出します。

清弦の放った無数の蜂が、無悪(穢れの王)に放たれますが、『耳障り』の一言で弾かれてしまいました。

『弱きモノよ、一体どうやって、強きモノである私を祓うつもりだ』

突如として、巨大な腕が清弦を襲います。

「別に俺が祓おうってんじゃねぇ~~~」

上に逃れた清弦は、そのまま腕の爪を振るいます。

虎闢・須佐之男。清弦の十八番です。

がまるで効いた様子は見えず。『そよ風』と表されるだけでした。

しかし、無悪の周囲を呪印が覆います。

「裂空魔弾・救急如律令!!」

有盛の術です。鈩の加護を得て、12天将と同等以上に昇化された裂空魔弾が無悪を襲います。

さらに「狂扇鏡射」と術を告げると、裂空魔弾を反射させる鏡のような呪印が出現し、裂空魔弾の嵐が無悪を覆い尽くします。

(すごいっ。鈩さんの呪力のおかげで、今まで使いこなせなかった術が自在に発動できる)

(元々圧倒的な知識量と呪力操作に優れた努力家が)

「開花したなぁ~~」

しかし、その直後、裂空魔弾の檻が崩壊。

無数の大腕が2人を襲うのでした。

それは開始から1:48:13の事でした。

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折れた最強

繭良は結界の外に視線を向けます。視線の先では、清弦と有盛が戦っています。

その様子を見て、士門は「呪力を集中させ治癒に専念するよう」指示します。

「清弦さんが5分もたせると言ってくれた。俺たちは俺たちのすべきことに集中しよう」

「うん」

「天馬、お前も準備は怠るなっ。何時でも戦えるようにしてお‥─!?」

そこには義手を失い、ただ座り込む天馬の姿が。

その表情は暗く、士門は言葉を失います。

纏神呪で挑み、惨敗した。

その事実が、天馬を更に追い込みます。

アイツは‥アイツは俺が絶対にっ‥

絶対に俺がブチ殺してやる‥!

遺された右腕を握りしめ、天馬は覚悟を決めます。今回の戦い、天馬にしては珍しく、序盤から本気で戦っていました。無悪(本体)での猛攻は目を見張るものがあったと思います。

本気。それは裏を返せば、普段のひょうひょうとした天馬とは、どこか違っていました。

らしくない。

しかしその時、泉里(天馬の姉)が姿を見せます。

「どうやって~~?あれだけの力の差を見せつけられて、今の貴方になにができるっていうのぉ?」

「‥‥泉」

「昔の貴方は死に場所を求めて戦い続けてきた、でも今はいちいち戦う理由を探さなきゃいけないほど、薄っぺらい信念しか持ち合わせていない。だったら今、命をかけて戦う理由がどこにあるのかしら?」

「──寧ろこの世の殆どの人間は苦しみを抱えていきているじゃないのっ、この世界が続いても得をするのは一部の上流階級の人間だけ!」

「だったらいっそ、ここで全部投げ出してしまった方が、苦痛から解放される人がたくさんいるんじゃないのぉ?」

そんなて彼女の魔の囁きは、天馬を暗く沈めます。

しかし「天馬!!」と言う声が聞こえ、現実に引き戻されます。

「どうした天馬っ!?呆けている場合ではない!!立てっ、戦うぞッ!!!!」

天馬は士門の方を見ました。

「‥‥!!」

そして悔しそうに歯を食いしばります。

「‥ボロ雑巾が‥‥っ!!」

士門の方を見れば、そも右足の義足は、無残に破壊されてしまっており、剣をつきたて杖代わりにしている状態でした。

この時何を思ったのか分かりませんが、士門の足を見て、悔しそうに歯を食いしばったのです。

もしかしたら、かつて斬り落とした事を、後悔しているのでしょうか?

「テメェみたいなボロ雑巾に何が出来るってんだ?んん!?」

「ジュニアとパンダ師匠が時間稼いでくれてとして、たかが五分」

「既に一度纏神呪で返り討ちに遭ってさっき以上の回復も出来るはずもねぇ‥気合いだけで乗り切れる相手かよ?特攻でもやろうってのか‥!?」

それに対し、士門は「それしか方法がないならそうするが‥」とさも当たり前のように答えます。

「石頭野郎がっ結局無駄死にコース一択かよっ。それがテメェの陰陽師としての矜持ってヤツか!?」

そこには、いつも通りたぬき顔でキレた、天馬がいました。

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希望の太陽

舞台は変わり、無悪へ。

『外では今、無悪の術式によって、元の回想と私が封印されていた回想が融合を開始している。使徒苦痛に彩られた大気が満ちてゆくぞ。弱き人間では、鼓動を討つことなど出来ぬ紅き世界‥』

『まさに“地獄”─と呼ぶに相応しいだろう』

外は、大地は崩壊しなくなり、哀れな塵軍が浮かぶばかり。

以前の禍野の大地は、完全になくなっていました。

陰陽師、婆娑羅、共に死を待つのみ。

大地の崩壊により、宙へ投げ出された水度坂勘九郎は、共に戦っていた外院の「勘九郎君!」の呼び声で目を開けます。

彼の目は既に、禍野の陰の気の侵食が始まってしまっていました。ほぼ無傷だった12天将が陰の気に墜ちる。確かにそこは地獄でした。

が、勘九郎の周りを陽の結界が護ります。

「これは‥結界!?」

辺りを見回せば勘九郎の他にも外院や雲林院憲剛、嘶新などの陰陽師や、婆娑羅たちまで、ほぼ全員を結界が護っています。

そんなことが出来る陰陽師は、彼のみ。

焔魔堂ろくろでした。

「俺たちに絶望を与えたかったんだろうがぁ~」清弦は告げます。

「俺たちには”希望”しか─テメェの大嫌いな正のエネルギーしか生まれなかったなぁ~~」

「焔魔堂‥!!」

『ふむ!』

そしてその希望は士門達へも届きます。

「天馬‥俺が戦い続けることに陰陽師かどうかは関係がない─何故なら。命を懸けて戦うことと、生きることは同義だからだ。俺だけではない。人は皆戦うべき宿命を持って生まれてくる。敵は目の前にいるのではない。的は常に自分の内にいるのだ」

立ち向かうべきは、怒り、嫉妬、悲しみ怠惰。あらゆる欲。

「腕がなくなろうと足がなくなろうと、何度心が折れようと、果たすべき約束のため、貫くべき信念のため」

「己の中にあるケガレと戦い続けることと生きることは同じなのだ。」

約束。士門にとっての約束は、全てのケガレを祓い、妹を短命の宿命から救い出すこと。

士門は天馬を真っ直ぐ見つめます。それに天馬の右目が向かい合います。

戦闘開始から03:55:48。

これで‥五分

「式神召喚‥クチナワ姫」有盛が唱えると、それに答えるかのように、一角を持つ白蛇の式神が出現。

「式神呪装・姦姦蛇姫!!」

有盛の式神呪装。美しい大槍が生成されます。

「じっとしてろぉ~~!!」

「万華鏡獄院」清弦が術を発動させると、無悪の視界がまるで万華鏡の中に閉じ込められたかのように歪みます。

『小賢しい』しかし、当然無悪はそれを軽く遇ってしまいます。

『この程度なら、目眩ましにもならぬ』

そして、五人に分身した有盛の特攻を喝采だけで吹き飛ばします。

『無益。圧倒的戦力の前では囮も揺動も意味を為すまい』

そのまま有盛はかき消されてしまう、かと思ったのも束の間。

それは式神。さらにその式神から清弦が飛び出します。

式神呪装・姦姦蛇姫を装備し、無悪に躍りかかったのです。

ズンっ。

ついに無悪に刃が届きます。

「テメェはもう少し‥戦ってる相手を見ろやぁ~~」

戦いを見ていた繭良は「お父さん」とこぼし、天馬は真剣な眼差しでそれを眺めていました。

しかし、呪力量に差がありすぎたためか、清弦の右腕が悲鳴を上げます。引き裂けるほど、凄まじい呪力が無悪から流れ込み、血が噴き出します。

『ではしっかりと放さぬことだ。手足と魂が引き千切れるまでな‥!』

天若清弦

「清弦さん!」

「気ぃ散らすな有盛ぃぃぃ!!お前は槍に呪力を籠め続けろ!手加減したら後でバチクソ説教すんぞおお~~!?」

槍を突き立てたまま、清弦は叫びます。

その間、清弦の身体には、無悪(穢れの王)の凄まじい呪力が流れ続けますが、構う物か。

「お前の親父も俺の昔の友人も‥皆己のすべきことを全うして先に逝った。正義を建前に非道を是としてきた俺がのうのうと生き永らえていて、いいワケがねぇだろうがぁ~~!?」

「今ここで、ちょっとでもヘタレな真似しようもんなら、あっちでテメェの親父にどんな嫌味言われるか分かったもんじゃねぇからよぉ~~!」

『それは遺言か‥?死を正当化する。自信の敗北を認めるに相応しい行為だ』

「死‥─が敗北?上等上等!」

清弦と無悪の競り合い。

ビキビキと音を立て、互いの肉体を削り合います。

人の大切な命を奪って

奪って奪って‥

奪い続けてきたくせに‥

清弦の頭の中に流れたのは、大切な人たちの記憶。

紫との出会い。ろくろとの修行、士門との修行。

天馬との共闘。天馬と士門と三人で挑んだ戦い。

ろくろと酒を酌み交わした思い出。

愛弟子の結婚式。

有盛の成長。

そして何よりも

「十分すぎるほど生きて‥望んだものは殆ど手に入って、苦痛おなく穏やかに死ぬなんて‥罰当たりにも程がある‥」

「俺はもう、何もいらねぇしよぉ~」

何よりも、最後に想ったのは、娘の笑顔。

残された奴らが幸せになるなら、何でもやるからよぉ~~」

戦闘開始から、04:59:87。

12天将の矜持

戦闘開始から05:00:00。

清弦が、力なく落ちたその瞬間。

目にもとまらぬ猛攻が、無悪を襲い遙か後方へと吹き飛ばしました。

それは、繭良でした。全身に白虎の呪力を帯びた繭良。

その腕の凶爪は、以前よりも遙かに洗礼されています。

「繭‥」何とかすんでの所だったのか、清弦は呟きます。

「これが最後の宿題だとか、自分だけ生きて良いはずがないとか‥残された人たちが幸せなら何でも良いとかっ‥」

「今度また同じようなこと言ったら、本気でビンタするっっ!!!」

ガチギレ繭良です。目尻に大粒の涙を浮かべ、清弦に怒鳴りつけます。

一方、後方へ吹き飛ばされた無悪。全身黒く澱んだ身体のその一部、左肩辺りだけ、浅黒い身体が露わになっていました。

そう、そこは清弦の槍が刺していた部位。付け加えるのなら、繭良が削った部位でもあります。

「──!!あれは‥!?」

「無悪“本体”の肉体部分です。穢れの王の力で纏った表面の一部を集中的に攻撃してメッキを剥がしたんです‥!」

「有馬と鳴海の分まで生きるなんて恥知らずなことは言えねぇが、アイツらの分まで命懸けねぇと死ぬに死にきれねぇ‥」

清弦は、立ったまま。しかし力なく「これで五分だな」と呟くのでした。

「お父さん‥」

「う‥うおおおおおおおおおおお」

「燃えろおおおおおおおおおおっっっ!!!天馬ぁ!!!」

次の瞬間、無悪の左肩あたりに、士門の連打が炸裂します。

以前よりも遙かに疾く、重たい打撃。纏神呪・朱染雀羽の猛攻です。

それを上空から見下ろす天馬。

「うるせぇな」そう呟く彼は、士門の背中を思い出し、歯を食いしばります。

「もっと気楽にやらせろよ。んん?」らしくなかった彼が、気楽さを取り戻した瞬間。

失ったはずの左腕には、もう一振りの大剣が携えられていました。

「そんなこといちいち考えてねぇと生きていけねぇのが人生ってんなら、人類みんな堅物石頭てめぇみたいになるだろうがっ!!」

「じぇぇぇっ!!」雄叫びと共に、鋭い斬撃が無悪を切り裂きます。

二振りの大剣を装備した人剣一体の纏神呪。

『ケガレよりもしつこくて鬱陶しい‥其方達は一体何なのだ?』

「俺は”最強”。鸕宮天馬。適当に気ままに、その場の気分でテメェを祓う」

「正義と陰陽の信念の下に、貴様を祓うものだ!!!」

相変わらず凸凹なトリオが見参するのでした。

考察

清弦の命

今話最も危ぶまれるのは、清弦の命です。

先ほど、「これで五分だな」といった清弦は満身創痍でした。

そして、繭良は悲痛の表情を浮かべています。

極めつけは、目、です。

双星の陰陽師にて、今までなくなったキャラクターは皆、死に際に目が死に目に変わります。

膳所美玖、土御門有馬、蹉蛇桜、勝神コーデリア、御幣島すばるに膳所雲雀。彼らは例外なく死に目でその命を終えました。

逆に、瀕死に陥った天馬は、死に目を浮かべませんでした。

清弦の場合、言い方は悪いですが、普段から死に目のようなクマを浮かべていて、正直判別が難しい。

ですが、恐らく、死亡してしまうような気がします。

無悪(穢れの王)の倒し方

キーとなるのは、露出した左肩でしょう。

そこに狙いを定め、撃破するのではないかと考えています。

死亡予想

清弦は死亡するような気がしています。しかし、恐らく他に、誰かしら、亡くなると思っています。

個人的には、天馬か士門。このどちらかでしょうか。

丸いのは、士門を庇い、天馬が死亡。或いはその逆か。

はたまた、繭良を庇い、士門か天馬が死亡。

はたまたはたまた、有盛を庇い天馬が死亡。

個人的に一番可能性が高そうなのは天馬だと思われます。

小説版にて、「士門の気持ちを知るのはまた別のお話」という記載があったため、恐らくですが繭良は生き延びるでしょう。

まとめ

いや、まさかの12天将の纏神呪の進化が見れるとは。

また清弦さんの活躍もすごかったですね。面白かったです。

ただ、清弦さんのあの強さは一体何なのでしょう?

理由もなくあそこまで強いとなれば、12天将の格落ち感が否めない。

ただ、今回12天将が最後で挽回してくれたので‥

最後まで読んでくださった方、記事を見てくださった方に感謝を<(_ _)>

また次話でお会いしましょう。

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